
健康保険と厚生年金保険については、誤解が多くあります。パート社員という区分は特になく、社会保険に加入すべきか否かは、次の要件で、判定されます。
*適用事業所に雇用される労働者・事業主・役員(つまり全員)は本来被保険者となる。(適用事業所=法人であればすべて)
*厚生年金だけは年齢要件があって、適用事業所に雇用される70歳未満の者が被保険者となります。
<以下の者については被保険者とならない>
*したがって、当該申し込みをしたパート従業員が上記に該当しない限り、加入が必要となります。
昼間の学生は雇用保険には加入できません。そもそも学業が本分であり、アルバイトを辞めたからといって、失業とはいえません。
ただし、労災保険は賃金を受ける労働者すべてに適用します。なお、学生以外の者の雇用保険の加入要件は以下のとおりです。
*使用人兼務役員以外の役員は、労働者ではないので加入しません。
派遣契約は、そもそも派遣元事業主と派遣先との間で取り交わされるものです。労働者は本来派遣元の雇用責任の下にあり、同時に労務管理的には、派遣先の指導を受けることになります。万一派遣先のルールを遵守できずに、不良な労働者であるとの判定をすべき場合であっても、雇用責任のない派遣先で懲戒処分の決定をすることはできません。
もちろん、派遣元への苦情と場合によっては、損害賠償の請求や、代替要員の派遣の要請などはできることになります。
これらの内容について契約時点で確認しておくことが重要です。
労働に関する処理は、順法にやっておくに限ります。会社都合になると失業給付の日数が増えますから、このような申し入れをする社員が出てきます。断固実態とおりの処理をすることをお勧めします。
また、労働者からの意思表示による退職の場合には、必ず「退職願」などの書類を提出させます。
退職金も支給されることが明記されていたり、会社の慣行上、支給することが当然と思われるときには賃金としての扱いを受けます。
この場合に特に支払日に関する定めがないときには、通常の賃金の締め切りの例を受けることとなります。定めがある場合には、その日に支払えば済むわけですが、3か月は長すぎると思われます。一般的には、退社の日の属する月の翌月末日くらいが平均的です。
うそです。雇用契約を更新せず、契約期間を過ぎてもなお雇用し、労働者もこれに異をとなえず、賃金などの支給がある場合には、期間の定めのない雇用へ移行します。また、雇用契約書に自動更新の記載がある場合には、同じく更新を期待し得たと判断されることがあります。雇用契約はきちんと作成し、更新もきちんとすれば雇用期間満了の雇い止めは解雇とはなり得ないのです。
なお、期間の定めのある雇用契約の期間の上限は、3年となりました。(60歳以上の者と締結する雇用契約については、5年まで)
平成15年の労働基準法改正により、非常に微妙な問題になってきました。就業規則の絶対的必要記載事項に「解雇の事由」が含まれまた労働者を雇い入れる度に交付する「労働条件通知書」にも解雇の事由についての記載が必要となります。当然に、これらに該当する場合に限り、解雇が有効となります。
また、解雇を予告された労働者は、当該解雇の予告がなされた日から、当該退職の日までの間においても、使用者に対して当該解雇の理由を記載した文書の交付を請求できます。
解雇については、裁判例などでも解雇にいたる合理的理由を求められていましたが、労基法でも同様の記載が追加されました。
必要です。期間満了のときは雇い止めですが、契約期間中であれば解雇となります。正社員と同様に解雇予告手当か解雇予告が必要です。期間の定めのある雇用契約では、必ず文書による雇用契約書を取り交わしておくことを併せておすすめします。
結婚休暇や慶弔休暇などを特別休暇とよび、年次有給休暇とは別に有給で処理する会社がほとんどです。これは、社会通念上起こりうる慶弔に関して、福利厚生の一環として整備する意味があります。
したがって、結婚の事実などの前後に取得することを限定しないと収拾がつかなくなる恐れがあります。就業規則などで取得できる期間を明記しておくとよいでしょう。
有給休暇を取得する場合、業務の都合上必要な場合などには事業主はその取得時期を変更してもらう権利があります。これを時期変更権といいます。しかし、退職時となると取得時期の変更は事実上不可能です。申し入れがあった以上一括取得に応じることになります。
しかし、有給休暇は本来仕事のためのリフレッシュにつながるためにあるものであり、残日数を退職時に一括取得するためのものではありません。釈然としない、事業主の方の気持ちもよくわかります。
有給休暇の計画的付与などを検討されて、休暇の取得率の向上にも目をむけるべきです。
産前の休暇については、出産予定日前6週間について労働者の申し出により取得させます。命令というわけにはいきません。これに対して産後は、母体保護などの観点から8週間については休暇を与えなければなりません。したがって、産前と産後はいっしょには考えられません。
慰安旅行や運動会などレクリエーションの場面では、ほとんど労災の適用がないと思われます。しかし、慰安旅行の主催側の総務部員である場合などには、旅行の主催や参加そのものが業務であると認定されたケースもあります。 労災は、あくまでも業務起因性や業務遂行性が問題になります。
非常に大きな問題です。これらの行為は「労災かくし」として摘発されます。はじめは軽微なケガであっても、万一治療が長引いた場合などは労働者の負担は非常に大きな違いがあります。 労災事故につきましては、的確で迅速な処理を心がけなければなりません。
消滅しません。傷病手当金は私傷病で労務不能となり、賃金を得られない状態のときに病気やけがで休んだ期間一日につき、標準報酬日額の2/3相当額が支給されます。
この権利は支給が開始されてから1年6か月間有効であり、退職によっては、消滅しません。もちろん労務不能か否かは、医師の判断によります。
時間外割増賃金は、法定労働時間を超えて労働させたときに支給しなければなりませんが以下の場合には、例外となります。
経営者と一体となって、管理監督の立場で業務を遂行する者は、本来自らが労働時間を決定しうる者として、時間外手当、休日出勤手当の対象から除外してもいいことになります。 (管理監督者は全労働者の4分の1未満であることが目安です。)
*デザイナー、コンピュータSE、ディレクター、記事の取材などの業務を専門型裁量労働者といい、労使協定を締結することにより、時間管理から除外できます。この場合でも目安となる労働時間の把握は必要です。
*ア.事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査、分析の業務または イ.業務遂行の方法、時間配分などについて労働者に具体的な指示をしない業務については、企画型裁量労働者といい、労使協定の届け出のほか、委員会報告など一定の届け出をすることにより時間管理から除外できます。
就業の場所がもっぱら事業場外であったり、始業・終業の時刻が事業場外であるために、正確な労働時間が判定しがたいときは、事業場外労働者として、通常の労働時間労働したものとみなすことができます。通常の時間では収まらないと判定されるときは、みなし労働時間に時間外労働時間を組み込むことも可能です。
*年俸制であっても、みなし時間外労働を組み込むなどの措置が必要であり、時間外割増賃金の適用から除外することはできません。
*フレックスタイムなどでも、時間管理は必要となります。
本来絶対と思っていたほうがいいと思いますが、次の場合には一定の条件で40時間にこだわらない場合があります。
賃金とは別に支払うべきです。解雇予告手当は賃金ではありません。したがって、保険料も控除すべきではありません。将来賃金と混同されないためにも明細を発行し、賃金とは別に支払います。
役員報酬ではありません。全額労働者分の賃金となります。執行役員は、会社法に定められた取締役ではありません。したがって、役員報酬とはならないのです。執行役員である者が同時に会社法で定められた取締役である場合には役員報酬となりますが、本来の趣旨からははずれています。執行役員と使用人兼務役員を混同しているケースも散見します。使用人兼務役員は、会社法の定めですから役員報酬を支給してもいいのですが、労働者分があるから使用人兼務としていることから考えても、賃金部分が大半であることが望ましいと思われます。労働保険などの加入についても、役員報酬では加入できないことがあります。また、使用人兼務役員が労働保険(雇用保険)に加入する場合には、公共職業安定所への届け出が必要です。