高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の概要

 平成25年4月より、厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢が61歳に引き上げられる(段階的に65歳まで引き上げられることになっています。)ことから、60歳定年制度を採用している企業で就労し、定年後、継続雇用されない方においては、60歳から61歳において無収入の期間が生じるおそれがあります。

 

 定年後に無年金、無収入となる方が出るのを防ぐため、”60歳定年後の継続雇用制度対象者を限定できる仕組みの廃止”を柱とした「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部の改正する法律案」が平成24年3月に国会へ提出されました。

 この法案が成立すれば、平成25年4月より施行される予定となります。

 

 【法律案のポイント】

1) 継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止

 現行の65歳までの雇用確保措置(①定年の引上げ、②継続雇用制度導入、③定年廃止)のうち、継続雇用制度導入にあたり認められていた「労使協定による対象者の選定基準設置」が廃止されます。

2) 厚生年金支給開始年齢の引き上げとともに継続雇用制度の義務化年齢を引き上げる経過措置

 厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢引き上げに合わせ、希望者全員を対象とする継続雇用制度の義務化年齢引き上げ(平成37年まで)がなされます。

3)継続雇用制度の対象者が雇用される企業範囲の拡大

 継続雇用される企業範囲を、①親会社、②子会社、③親会社の子会社、④グループ会社まで拡大されます。

4)義務違反の企業に対する企業名の公表

 

 このように、「高年齢者雇用制度」の見直しはどの企業にとっても喫緊の課題となっています。

 今後の労働力人口減少や若年者雇用とのバランスなども踏まえ、高年齢者のニーズに応じた労働環境の整備を進めていかなければなりません。

 また、継続的な課題として検討されている「法定定年年齢の引き上げ」や、「高年齢者等職業安定対策基本方針の雇用・就業目標”70歳”」などを鑑みると、今後も段階的、中長期的な対応が迫られることが予想されます。

 

 厚労省HP:http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000023f0k.html

 

 

 

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