高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針(案)について

平成24年10月2日、労働審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会において、「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針(案)」が示されました。

本指針では、改正高年齢者雇用安定法に基づき、事業主がその雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するために講ずべき措置(定年の引上げ、継続雇用制度、定年の廃止)に関し、その実施および運用を図るために必要な事項が定められることになります。

 

今回の改正により、労使協定で継続雇用の対象となる高年齢者に係る基準を定めることができなくなり、原則希望者全員を継続雇用の対象とする制度が求められるようになる中で、本指針では継続雇用しなくてもよいものについて以下のように示されています。

 

「心身の故障のため業務に堪えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き従業員としての職責を果たしえないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。以下同じ)に該当する場合には、継続雇用しないことができる。」

 

さらに、具体的な運用方法としては、以下のポイントが示されています。

○就業規則に定める解雇事由又は退職事由と同一の事由を、継続雇用しないことができる事由として、解雇や退職の規定とは別に、就業規則に定めることもできる。

○当該同一の事由について、継続雇用制度の円滑な運用のため、労使協定を締結することができる。

解雇事由又は退職事由とは異なる運営基準を設けることは法改正の趣旨を没却する恐れがあることに留意する。

継続雇用しないことについては、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが求められると考えられることに留意する。

 

本指針は、継続雇用拒否の法的根拠になり、労使のトラブルを防ぐ狙いがあります。

とはいえ、継続雇用拒否を有効とするためには、客観的合理性・社会的相当性が求められるため、特に勤務態度等を理由として継続雇用しない場合は、問題行動に対する指導や注意の実績、記録、同様の者への対応等、定年前の労務管理が重要となります。

なお、本指針においては、継続雇用しないと決定するタイミング等は示されておらず、未だ不透明な部分があり、今後も厚生労働省の動向を注視していく必要があります。

 

詳細は、厚労省HPをご覧ください。

 

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