専門委員会 厚生年金基金制度廃止妥当との意見書を提出

平成25年2月1日、第7回「厚生年金基金制度に関する専門委員会」が開催され、厚生年金基金制度の見直しに関する厚生労働省試案についての審議結果が報告されました。

この中で、厚生年金基金制度廃止という方向性は妥当であるという意見でほぼ一致したことがわかりました。

 

専門委員会では、試案について、①「代行割れ問題」への対応、②持続可能な企業年金の在り方および③代行制度の在り方の3つの論点に沿って審議が行われ、委員会としての意見がまとめられました。

 

厚生労働省は、専門委員会の意見をうけ、法改正案を今国会に提出する予定としています。

企業の人事制度等に大きな影響を及ぼす本件について、今後の動向に注視していく必要があります。

 

【試案に対する意見(基本的な考え方)】

1)「代行割れ問題」への対応

・自己責任が原則であり、厚生年金全体の財政に影響を及ぼすことは回避すべき。

・特例解散制度について、代行割れ基金の母体企業を取り巻く厳しい経営環境にも配慮が必要(円滑な資金調達を支援する観点から見直し)。

・円滑な解散を促すために、特例解散制度の改善を行うべきだが、公正かつ公平な基準を定め実行する必要がある。

 

2)持続可能な企業年金の在り方

・今後「公的年金と私的年金との役割分担」について考えていく必要がある。

・当面の課題となる基金から他の企業年金制度への移行に関しては、中小企業が導入しやすい仕組みへ制度を改善していく必要がある。

*確定給付企業年金制度においては事後的な不足ができるだけ発生しにくい仕組みとすること。確定拠出年金制度においては、コストの低減化を徹底した仕組みとすること。

 

3)代行制度の在り方

・厚生年金本体に財政リスクを負わせないといった制度創設時の前提条件が崩れてきており、制度としての今後の持続可能性は低いとし、以下の代行制度の廃止に向けた方向性は妥当であるという意見でほぼ一致した。

①すでに15年以上行われていない基金の新設を制度的にも停止する等代行制度を段階的に縮小すること

②財政状況が健全な基金は他の企業年金制度へ移行させること

③10年間の移行期間を経て代行制度を廃止すること

・「健全な基金」についての存続については、健全性の評価が極めて重要であり、昨今の金融市場のリスクが高まる中で、代行割れリスクがゼロにすることはできないこと、代行割れ問題を特例解散制度の見直しにより制度的に解決する以上、抜本的な制度見直しを行わないという選択肢はあり得ないこと。

 

「厚生年金基金制度の見直しについて(試案)に関する意見」の詳細は、厚労省HPをご覧ください。

 

 

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